私たちについて

代表紹介

私たちは福島県立医科大学を離れ、POFFの活動を行います。

私たちは福島医大在職中に数年間、甲状腺検査の運営や現場の業務に携わりました。
その経験をもとに、医師として住民のために甲状腺検査がどうあるべきかを問い続けて参りました。
2020年3月で福島医大を退職し、教育や診療に携わりながら、このPOFFの活動を行っていくことになりました。
2020年4月から大津留は長崎と福島県内で、緑川は福島県内でそれぞれ、内科医として診療を続けています。

大津留晶 写真
大津留 晶
緑川早苗 写真
緑川 早苗

大津留 晶

内科医、医学博士 長崎大学客員教授
1982年長崎大学医学部卒業、長崎大学第一内科入局。1991年~2003年長崎大学医学部原爆後障害研究施設にて、放射線発がん機序やがん治療の基礎・臨床研究を行う。2003年~2011年長崎大学病院内科准教授。永井隆記念国際ヒバクシャ医療センター副センター長。東日本大震災の被ばく医療チームの団長として派遣。2011年~2020年福島医科大学医学部放射線健康管理学講座教授。福島医科大学病院放射線災害医療センター長。高度被ばく医療支援センター長など。県民健康調査において部門長として、基本調査、甲状腺検査など担当。医学部教育の中における放射線健康リスク科学教育の樹立にあたる。2020年若年型甲状腺癌研究会代表、NPO・POFF(ぽーぽいフレンズふくしま)発起人共同代表。

緑川 早苗

医学博士 内分泌内科医 宮城学院女子大学 臨床医学 教授
1993年福島県立医科大学卒業。研修を経て内分泌内科医として福島県立医科大学および関連病院にて 20年以上勤務。福島の原発事故後に福島県民健康調査甲状腺検査に関わり、甲状腺検査によってもたらされた過剰診断による様々な問題に直面した。特に過剰診断の問題について住民とのコミュニケーションや医学生、その他の学生の教育にかかわってきた。また小児あるいは若年者のスクリーニングにより発見された甲状腺がんの成長パターンを解析し報告した。2020年若年型甲状腺癌研究会コアメンバー、NPO・POFF(ぽーぽいフレンズふくしま)発起人共同代表。

POFF設立趣旨

2011 年 3 月の原発事故後、住民の不安を受けて、事故当時 18 歳以下の全福島県民を対象とした甲状腺超音波検査(以下甲状腺検査)が始められ、現在も続いています。
一方で、この間、世界では甲状腺がんスクリーニングは勧められないとされてきました。
なぜなら、症状がない人に対する甲状腺がんスクリーニングは非常に多くの過剰診断とその不利益を引き起こすことがわかってきたからです。また、原発事故後という状況で過剰診断の不利益が起こると、放射線被ばくと関連付けて様々なマイナスの心理社会的影響が生まれることもわかってきました。

福島の被ばく量は甲状腺がんをはじめとするがんの増加は起こらないレベルであると世界の専門機関から報告されています。それにも関わらず、過剰診断かもしれない甲状腺がんの診断を子どもや若い人が受けることに、強い懸念を感じます。このことから私たちは甲状腺検査に対し以下のことを早急に行う必要があると考えてきました。
 1)過剰診断が少なくなるような検査方法への変更
 2)十分な説明と同意に基づく任意参加の担保と学校検査のやり方の見直し
 3)過剰診断の不利益に関する住民の十分な理解促進
 4)個別の検査受診の意思決定支援と相談システムの確立<
しかし、残念ながらこれらは達成困難な状況が長期にわたり続いています。放射線被ばくの健康影響を心配する人もしない人も、検査の利益・不利益を十分に理解した上で、この検査を受診するかどうかを自ら選択し、できる限り過剰診断の不利益にさらされないよう住民ひとりひとりが考え意思決定していくことが重要です。

そこで、私たちは非営利活動の任意団体「POFF(ぽーぽいフレンズふくしま)」を設立し、多くの方に甲状腺検査を正しく理解していただくため、次のような活動を住民の皆さんと共に行っていこうと考えています。
 1)甲状腺検査に関するわかりやすい本やホームページの作成
 2)地域住民の代表等を通じた学習会の実施
 3)個別の相談に関する電話ならびにメール支援システムの構築とその継続的な実施これらの事業を通し、住民が自信を持って福島で暮らし、誇りをもってふるさとを思うことに寄与できると考えます。さらにこの問題には、原子力災害後の調査の在り方を超えた、人々の生き方に対する保健・医療と社会の課題が含まれており、様々な立場から解決を模索することで、広く社会に貢献できると考えています。

2020 年 1 月吉日 POFF 発起人一同